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自転車世界一周の旅/第0話  僕が旅に出た理由

「なぜ自転車で世界一周なのか」

 今までに幾度となく問われた質問である。旅行中も帰国後も、外国人からも日本人からも、繰り返し同じ質問を受けた。バスや列車のほうが楽じゃないか。自転車が壊れることもあるし、危険なこともある。なにより疲れるじゃないか。そこまで長期の旅を志した理由はなんなのだ、というわけだ。

 改めてそう訊かれてみると、なかなか答えるのが難しい。

「学生時代にも自転車旅行をしていたから」

「普通の旅行では訪れることのできない田舎の村を訪れることができるから」

「自分の足で世界中を回ってみたかったから」

 そのときそのときで、僕は違う回答を返していた。相手によって答えを変えることもあった。もともと僕は、運動が得意な子供ではなかった。足は遅く、腕力はなく、スポーツは全般苦手だった。気が弱く、いじめられっ子でもあった。当時の僕を知る誰もが、とても将来自転車で海外を放浪するような大人になるとは、全く想像もしていなかっただろう。

*   *   *

 一方で少年時代の夢は宇宙飛行士。SF小説やロールプレイングゲームが好きで、月や火星に行きたいと本気で考えていた。その一心で理科系を選択したほどだ。

 そんな僕が旅に目覚めたきっかけは、大学でサイクリング部に入部したこと。もちろん、はじめから決めていたわけではない。大学が配布していた部活紹介の冊子に「我が部では夏に3週間にわたるキャンプ生活をします」と書かれており、その3週間という「長さ」の想像がつかず、冒険マンガの中の絵空事に憧れるように、面白そうだと思ってしまったのだ。

 入部当初は体力がなく、体育会系のノリにもついていけず、僕はあまり馴染めなかった。もっと気楽なサークルにしておけばよかったと後悔したほどだった。しかし、徐々に自転車で長距離を走ることに慣れてくると、地図を頼りに知らない道を走る楽しさにはまるようになった。

 1年目に信州、2年目には北海道と、夏の遠征をやり遂げたことも自信になった。サイクリング部は他の運動部と違って、レギュラーも補欠もない。最低限自転車に乗れて、やる気さえあれば、誰でも自由に挑戦できるのが魅力だった。

蘇花公路
【台湾/急峻な東海岸の蘇花公路】

 初めて海外へ出かけたのは大学2年の末、先輩や友人たちと5人で台湾であった。早朝から深夜まで街角にクラクションが鳴り響く経済成長の熱気に驚き、日本よりも険峻な海岸線の美景に目をみはった。なにより思い出に残ったのは、地方の民家に泊めてもらった体験だった。

 中国語のカラオケを日本語の音読みで歌ってみたり、チャゲ&飛鳥のファンだという中高生の子供たちと仲良くなって、筆談で会話が成り立つことに感動したりした。海外ってなんて面白いんだろう。また別の国にも行きたいと、そう思うようになった。

 以来学生時代のうちに、自転車でカナダやマレーシアや韓国へ、鉄道旅行でヨーロッパへと出かけた。いつしか興味の対象が、宇宙から世界へと移っていた。卒業後、旅行会社に就職することになった。

シンガポール・マレーシア国境
【シンガポール・マレーシア/初めて越えた陸路国境】

*   *   *

 社会人になっても休みのたびに海外旅行を楽しんでいた僕だったが、なかなか学生の頃のように自転車を持っていくことはできなかった。とれる休みが短かったからだ。

 一度だけ、2年目のときに長期休暇をもらえたことがあった。12日間であり、僕はポルトガル、スペイン、モロッコを周遊しようと考えた。もちろん自転車だ。日数に余裕がなく、行程を欲張りすぎたため、ほとんど毎日走るだけの、ろくに観光もできない旅になった。しかし、そんな中でも地元の人との出会いがあり、自転車の旅ならではの、その土地に溶け込んでいく感覚があった。

 最後モロッコに上陸し、もう翌日の飛行機で帰国しなければいけないという日、僕はドイツ人の2人組と出会った。彼らは車で旅行しており、次はモーリタニアだと言った。さらに西アフリカを南進し、セネガルやガーナを目指すつもりだと続けた。

 僕は彼らが途方もなく羨ましかった。もっと長い旅がしたいと思った。

モロッコの海岸
【モロッコ/大西洋沿岸の道】

「いつか会社を辞めて世界一周する」

 周囲の友人たちに対して、半ば本気の半ば冗談で、そう口にするようになった。

 実際に実行を決意したのは、さらに2年後、27歳の誕生日を目前に控え、やるなら20代のうちだと考えてのことだった。奇しくもサイクリング部の後輩たちの中に、休学してユーラシアの旅に出る者や、チベットからネパールまで走った2人組(しかもこちらは女子)がいた。そんな後輩たちの話を聞き、刺激を受けた。

 青空が呼んでいる気がした。

 地平線が待っている気がした。

 どれほどの出会いがあるのか、想像がつかなかった。ただ世界を知りたいという、強い衝動があった。だから僕は、旅に出た。

出発から0キロ(40000キロまで、あと40000キロ)

>> 第1話  四万キロを目指してアンカレジを発つ



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